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内科・小児科・循環器内科・胃腸内科
医療法人社団高和会 元住吉クリニック
神奈川県川崎市中原区木月2-12-18

TEL:044-422-4077

動脈硬化症とは?

「動脈硬化症」という言葉を耳にしたことはありますか? 自覚症状がほとんどないまま進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こします。

動脈硬化症とは?

動脈硬化症とは、文字通り動脈が硬くなり、しなやかさを失ってしまう病気です。私たちの体には、心臓から全身に血液を送る「動脈」と、全身から心臓に血液を戻す「静脈」があります。動脈は本来、ゴムのように弾力性があり、心臓が血液を送り出すポンプ作用に合わせて、しなやかに広がったり縮んだりすることで、スムーズな血流を保っています。

しかし、長年の生活習慣(高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙など)や加齢によって、動脈の壁にコレステロールなどの脂質がたまり、プラークと呼ばれるコブが形成されます。このプラークが大きくなると、血管の内腔が狭くなり、血液の流れが悪くなります。さらに、プラークが破れて血栓ができると、血管が完全に詰まってしまったり、血栓が脳や心臓の血管に流れ着いて詰まらせたりすることで、以下のような重篤な病気を引き起こす可能性があります。

  • 脳血管疾患: 脳梗塞、脳出血
  • 心臓病: 狭心症、心筋梗塞
  • 大動脈瘤: 大動脈の壁が膨らんで破裂する危険性
  • 大動脈解離: 大動脈の壁が裂けて、血流の通り道がもう一つできる
  • 閉塞性動脈硬化症: 足の血管が狭くなり、歩行困難になる病気

なぜ動脈硬化症は進行しやすいのか?

動脈硬化症は、初期段階ではほとんど症状が現れません。そのため、知らないうちに進行し、気づいた時にはかなり進行しているケースが多く見られます。症状が現れる頃には、すでに血管の狭窄が進んでいたり、プラークが不安定な状態になっていたりすることが少なくありません。

動脈硬化症の早期発見・早期対策が重要です!

自覚症状がないからこそ、定期的な検査による早期発見が非常に重要です。当院では、動脈硬化症の進行度を評価するための検査として、以下の2つの検査をお勧めしています。

1. CAVI(心臓足首血管指数)検査

CAVI(キャビ)検査は、血管のしなやかさ(動脈硬化の程度)を数値で評価する検査です。腕と足首の血圧を同時に測定することで、心臓から足首までの血管の硬さを評価します。

  • 検査時間: 数分程度で、横になっているだけで測定可能です。
  • 特徴: 痛みや不快感はほとんどありません。簡便かつ非侵襲的に血管の状態を把握できます。
  • わかること:
    ◦血管の硬さ:動脈硬化がどの程度進んでいるか
    ◦管の詰まり:足の血管の狭窄や閉塞の有無(ABI:足関節上腕血圧比も同時に測定)

CAVIの数値が高いほど、動脈硬化が進行している可能性が高く、将来の心血管イベント(心筋梗塞、脳梗塞など)のリスクが高いと考えられます。

2. 頸動脈エコー検査

頸動脈エコー検査は、首にある頸動脈という太い血管を超音波で観察する検査です。頸動脈は脳へ血液を送る重要な血管であり、全身の動脈硬化の程度を反映しやすいと言われています。

  • 検査時間: 10分〜15分程度で、首にゼリーを塗って超音波プローブを当てるだけです。
  • 特徴: 痛みは全くなく、X線を使用しないため被曝の心配もありません。
  • わかること:
    血管の壁の厚さ(IMT): 血管の壁が厚くなっているほど、動脈硬化が進んでいます。
    プラークの有無・性状: 血管の中にコレステロールなどの塊(プラーク)があるか、その大きさや状態を確認できます。プラークの性状によっては、将来の脳梗塞のリスクを予測する手掛かりにもなります。
    血管の狭窄の有無・程度: 血管が狭くなっている部分がないか、ある場合はその程度を確認できます。

これらの検査は、動脈硬化症の早期発見だけでなく、現在の血管の状態を把握し、将来のリスクを予測するために非常に有効です。

動脈硬化症の予防・改善のために

検査の結果、動脈硬化症の兆候が見られた場合でも、適切な対策を講じることで進行を遅らせたり、改善させたりすることが可能です。

  • 生活習慣の改善:
    バランスの取れた食事:塩分、脂質、糖質の摂取を控えめに
    適度な運動:ウォーキングなどの有酸素運動を習慣に
    ◦禁煙:喫煙は動脈硬化を急速に進行させます
    ◦飲酒量の制限
    ◦十分な睡眠とストレスの管理
  • 基礎疾患の管理:
    ◦高血圧、脂質異常症、糖尿病などの持病がある方は、適切な治療を受けましょう。

当院では、患者様お一人お一人の状態に合わせて、専門医が丁寧なカウンセリングと適切なアドバイスを行っています。

最後に

動脈硬化症は、日々の生活習慣が大きく影響する病気です。自覚症状がないからこそ、定期的なチェックがあなたの未来を守る第一歩となります。ご自身の血管年齢を知り、健康な生活を長く続けるために、ぜひ一度当院にご相談ください。